この記事では、生成AIへの指示法を改善する簡単な4つのヒントを提示します。この4つのヒントはその推測負荷(=AIが文脈を推測するための認知的負担)を削り、AIのリソースを 本質的な応答に振り向ける方法(モデル性能を最大化する指示方法)です。
その4つのヒントに入る前に、まずAIが何を参照しながら回答しているのかを説明します。重要なのは、一般的なチャットベースの生成AIが、以下の点に着目して回答を出そうとしている点です。
1.「何を求められているか」
2.「どこまで参照すればいいか」
3.「どの部分に着目すべきか」
生成AIは、ユーザーがプロンプトとして入力した文章の文脈を分析し、その内容を推測して処理します。そのため、ぜんぜん関係のないトピックを同じチャットセッションで延々と続けた場合、何を求められているのかよくわからなくなったり、どこまでの会話をさかのぼって話題を推測すれば良いのかが曖昧になります。これらは「推測負荷」と言います。そして「推測負荷」が高いほど誤読が起きやすい構造になっています。
モードの明示
まず1つめは、モードの明示
生成AIはユーザーの意図を推論して回答を模索します。
区切り(モード)を明示することで、ゴール設定の安定化を図ります。
モードが明確だと余計な修正や行間読みをしなくなり、結果として回答の精度が向上します。
例)
「【文章をチェックして】内容の正当性と論旨の一貫性のみ確認して」
「【これは議論】私の主張の弱い点を指摘して」
「【これはアイデア出し】10個ほしい」
「【整合性をチェックして】」
「【以下を英語にして】」
など。
上記の例が示すとおり、指示部分を【】や「」のような括弧で括ることによって、これが指示であることをAIが見つけやすくなります。
細かい指示は、その横に続けて書けばOKです。
長文は“ブロック”に分ける
特に翻訳などをさせたり、プログラミングのチェックをさせようとするような場合に起きやすくなります。
長文を一括で入力すると、多くの情報を同時に保持し関連づける必要が生じます。その結果、AIは大量の情報を1つの文脈に無理に圧縮して処理しようとしてしまい、圧縮の過程でユーザーの意図を見失いやすくなります。
こうした状況では解析負荷が上がり、回答の精度が低下しやすくなります。
長文の場合は、「段落ごと」に入力すると精度が確実に上がります。
例:
【段落A】
(ここに文章を書く)
「次に段落Bを送るよ」
上記の例では、特定の段落だけに注力できるため、長文のときのように、ChatGPT が文脈の圧縮をしなくて済み、結果としてユーザーの意図の取りこぼしが激減します。
参照範囲の指定
まずは最も強力な方法:新しいチャット
まったくちがう話題へ移る場合は、「新しいチャット」を開始して、AIに過去の会話を参考にしなくても良い旨を理解させます。こうすることで推論の深さを軽減でき、ユーザーの意図を推測しやすくなるので、その分安定した回答を得ることができます。
参照範囲の指定の実際
AIとの会話が長くなるほど、過去の発言を重要度に沿った優先順位をつけてさかのぼり、会話の整合性を保とうとします。しかし、関係ないトピックを同じチャットで続けたり、延々とチャットを続けると、AIはどの部分を参照すべきか推測が必要になり、誤った文脈を採用しやすくなります。
範囲指定をしてAIが「どこまでの発言を参照すべきか」を明示してあげることで、無関係な過去ログを混ぜなくなります。
例:
「【直前5発言だけを参照して】この質問に答えて」
「【今日の会話全体を参照して】整合性をチェックして」
→ これだけで過去の話題との“勝手な関連づけ”がなくなります。
重要箇所のスコープ指定
長文を入力したり、長いチャットを行うと、AIがどこに焦点を当てるべきか迷います。
そこで、「ここを検証」「ここを要約」など“範囲マーカー”をつけると誤読が激減します。
例:
「→ 結論の妥当性だけ見て」
「→ この主張の弱点を指摘して」
「→ この部分の事実関係だけ検証して」
「→ この部分の文の整合性をチェックして」
「→ この部分の文の誤字脱字をチェックして」
→ このように「何を中心に答えればよいか」を明確にするだけで品質が跳ね上がります。
生成AIに対する最強テンプレ
テンプレその1(文章の検証・分析依頼テンプレ)
【依頼モード:文章チェック】
【参照範囲:この投稿のみ】
【焦点:論旨の一貫性と誤字のみ。文体は一切直さないで】
【段落A】
(ここに文章を書き込みます)
→ この段落だけ検証して
または
→ 次に段落Bを送ります。
焦点で「日本語ににして」「英語にして」などの指示を書きます。
テンプレその2(議論のテンプレ)
【依頼モード:議論】
【参照範囲:直近10発言】
【焦点:私の主張の弱点を明確化】
【段落A】
(ここに文章を書き込みます)
→ この段落だけ検証して
または
→ 次に段落Bを送ります。
Noteにも記事書いてみた
いろいろ執筆したものを発表できるnoteに今回の記事を書いてみました。


